祭りとフェスは何が違う?「○○FESTA」という名前に、ちょっと思ったこと

祭りとフェスは何が違う?「○○FESTA」という名前に、ちょっと思ったこと

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以前は「○○祭」や「○○まつり」と呼んでいた催しが、いつの間にか「○○FESTA」になっている。

そんな名前を見かけて、少し気になりました。

フェスタと聞くと、ステージがあって、おいしいものが並んで、みんなで楽しむイベントが浮かびます。

それはそれで楽しそうです。

ただ、日本の祭りには、にぎやかに過ごすだけではない役割があったはず。

名前が変わっただけなのか。それとも、行事の意味まで少し変わってきたのか。

気になったので、祭りとフェスの違いを調べてみました。

祭りには、祈りや感謝があった

僕にとって、お祭りといえば屋台です。

子どもの頃は、何のために開かれているのかより、何を食べるかのほうが大切でした。

でも、神社などで受け継がれてきた祭りには、神さまへの感謝や祈願という意味があります。

収穫に感謝する。豊作を願う。無事に暮らせるように祈る。

人の力だけではどうにもならないことが多かった暮らしの中で、祭りは大切な節目だったのでしょう。神社本庁も、神社の祭りを神さまへ感謝や祈願を捧げる行事として説明しています。参考:神社本庁「おまつりする」

そう考えると、僕が楽しみにしていた屋台の向こう側には、普段あまり意識していなかった意味があったのだと思います。

みんなで楽しむことにも意味がある

では、祭りで食べたり飲んだりするのは、ただのおまけなのか。

そういうわけでもないようです。

神社の祭りには「直会(なおらい)」という、祭典の後に神さまへお供えしたお酒や食べ物などをいただく行事があります。飲食することも、祭りの一部に位置づけられています。参考:神社本庁「直会」

もちろん、今のお祭りの屋台や宴会を、すべて直会と同じものとして考えることはできません。

それでも、「祈ること」と「みんなで楽しむこと」は、きれいに切り離されていたわけではないのですね。

祭りの準備で顔を合わせる。

普段は話さない人とも言葉を交わす。

大人がやっていることを、子どもがそばで見ている。

文化庁も、地域の伝統行事が地域のつながりや助け合いを支える重要な役割を持つとしています。参考:文化庁「地域文化財総合活用推進事業」

楽しんだ思い出だけでなく、人と人との関係も残っていく。それも祭りが持っていた役割なのでしょう。

フェスという言葉にも、祝祭の意味がある

ここまで調べると、「やっぱり祭りとフェスは別物だ」と言いたくなります。

ただ、言葉の意味は、それほど単純ではありませんでした。

英語の「festival」には、音楽などの催しという意味だけでなく、宗教的な出来事を記念する祝祭という意味もあります。「festa」にも、祭りや祝日などの意味があります。参考:Cambridge Dictionary「festival」、Dictionary.com「festa」

つまり、横文字になったから祈りや伝統がなくなる、という話ではありません。

「祭り」という名前でも、音楽や飲食が中心の催しはあります。

反対に、英語で「festival」と紹介されていても、長く受け継がれてきた祭礼であることはあります。

僕がフェスという言葉から思い浮かべていたのは、言葉の意味全体というより、音楽フェスなどの身近なイメージだったようです。

昔から知っていることと、昔からの祭礼であることは違う

もう一つ、考え直したことがあります。

子どもの頃から知っている「○○まつり」は、自分の中では昔ながらの祭りです。

でも、自分が長く知っていることと、その行事が古くからの祭礼であることは、別の話です。

市民の交流や地域のにぎわいづくりを目的に始まった催しもあるでしょう。

そうした催しなら、もともとステージや飲食を楽しむイベントとしての性格が強くても、不思議ではありません。

懐かしい名前だから伝統的な祭礼だった、と決めつけることはできないのですね。

名前の変化を考えるなら、先に「どう始まった行事なのか」を知る必要がありそうです。

気になるのは、名前よりも受け継がれるもの

「FESTA」という名前が悪いわけではありません。

新しい名前にしたことで興味を持つ人が増えたり、参加しやすくなったりすることもあると思います。

そもそも、行事を続けること自体が簡単ではありません。文化庁も、少子高齢化や担い手不足などによって、文化資源の継承が難しくなっていると指摘しています。参考:文化庁「文化資源の高付加価値化」

昔と同じ形を守るために、変えなければならない部分もあるのでしょう。

それでも、長く続いてきた行事なら、その由来や大切にしてきたものも、一緒に伝わってほしいと思います。

ステージや食べ物を楽しみながら、「この行事は、こんな願いから始まったんだ」と少し知る。

その一言があるだけで、同じ催しの見え方が変わる気がします。

祭りの由来をもう少し知りたくなったら、柳田国男の『日本の祭』という本もあります。

祭りの歴史や信仰を、民俗学の視点から考える一冊です。にぎやかな風景の奥に、どんな意味があったのか。今回の疑問から、少し先へ進みたいときの読書候補になりそうです。

柳田国男 著/角川ソフィア文庫

まとめ

「○○祭」が「○○FESTA」になっているのを見て、最初は少し寂しく感じました。

昔からのものが、今風のイベントに置き換わったように見えたからです。

でも、調べてみると、祭りにもいろいろな成り立ちがあり、フェスという言葉にも祝祭の意味がありました。

名前だけで、伝統が残ったか失われたかを判断することはできません。

僕が気になっていたのは、呼び方そのものより、その行事が大切にしてきたものが見えにくくなることだったのかもしれません。

楽しい催しとして続いていくこと。

その奥にある由来や、人のつながりも受け継がれていくこと。

両方が残っていたら、新しい名前にも少し違った気持ちで親しめそうです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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